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 SE STRUCTURE

注文住宅コラム Vol.1 
円徳建工がSE構法を標準採用している理由

円徳建工では、住宅の構造躯体として「SE構法」を標準で採用しています。
「SE構法」は「長野オリンピックエムウェイブ」のような大規模木造建築物の技術を活かして、1997年に生まれた構造技術なのですが、当社ではその初期からいちはやく本格採用し、これまでも多くの住宅に採用してお引渡しをしてきました。
当社は元来、マンションやビルなどの建築において、その内装造作を専門に施工する仕事をメインとしてスタートした会社です。そういう経験をベースとしたうえで、注文住宅を展開する上では「構造躯体をしっかりと安全なものにした上で、内装はご自身の好みやスタイルで自由に作り上げていく」という考えを重要視しています。そこに、この「SE構法」の考え方がとても共感ができたことが、当社が「SE構法」をかなりは早い段階から採用した理由でもあります。
 

 
今回は、この「SE構法」の特徴と、そのメリット・デメリットや私たちが標準的に採用している理由を解説したいと思います。
 

SE構法の特徴

「SE構法」は、大規模建築物の技術を活かして、阪神大震災の教訓から生まれた木造の工法です。使う木材には高強度で品質の安定した「構造用集成材」を使い、その接合部分には特殊な「SE金物」を使って躯体は組みあがります。
耐震性については、一般の木造住宅では行わない「許容応力度構造計算」を実施することで、信頼性の高い性能を持つ工法です。
「柱」と「梁」の接合部に使う「SE金物」は、スクリューの形状をしたSボルトとリングによって、重量鉄骨造のような強い接合となる「ラーメン接合」を可能にします。
 

 
また、「柱」と「基礎」の接合は「柱脚金物」というものを使って、引き抜き強度を高めています。
SE構法の「ラーメン接合」に対して、少々専門的な用語となりますが、在来木造は「ピン接合」という、接合強度を持たない「ただ繋がっているだけ」の接合なので、地震が起こると倒れてしまいます。よって、筋交いなどの耐力壁を多く配置しなければ耐震性を向上させることができません。
対して、「ラーメン接合」であるSE構法の接合部は、一定の強度を持っているので、それだけでも揺れに強く、更に、高耐力壁をバランスよく配置することで、在来工法に比べて格段に大空間を安全に実現することができるということになります。
円徳建工の家に大開口窓や吹き抜けのある大空間のリビング、ビルトインガレージなどが多いのはこのような理由です。
ではこの「SE構法」のメリット、デメリットについて詳しく解説していきます。
 

SE構法のメリット

① 大空間や大開口が実現できる

上記で述べたように、在来木造では難しい開放的な空間を安全に実現できることが大きなメリットです。耐震性を落として無理をすれば在来木造でも実現できるかもしれませんが、私としては絶対お勧めできません。家は家族を守る場所でもありますので、あくまでも、高い耐震性を持ったうえでの空間でないと、家自体を建てる意味さえないと思います。
 

 

② 許容応力度構造計算による安心感

その耐震性の裏付けが、設計者の勘や経験によるものではいけないと思います。数値と論理的に裏付けられたものであることが大事です。
そういう意味でも、RC造や鉄骨造では当たり前におこなっている「許容応力度構造計算」を行うことで、SE構法は高い信頼性を担保できます。もちろん、耐震等級3の取得も問題なく可能です。
 

 

③ 将来的に間取り変更がしやすい

新築時と20年、30年後では家族のライフステージも変わります。家族構成やライフスタイルの変化によって、間取りも変えたいと思う時期が必ず来ると思います。その時に、仕切られている壁を、耐震性を落とすことなく外したりすることができるのはとても大事です。
「SE構法」は、構造躯体と内装や設備を別々に考える「スケルトンインフィル」という設計手法ができるので、非常に有利です。
 

 

④ 筋交いを使わないのでダブル断熱がしやすい

これは、施工の立場からのメリットですが、「SE構法」の耐力壁は構造用合板であり、筋交いというものを使わないので、壁の中に断熱材をしっかりと充填することができます。円徳建工の家は基本は外断熱でありますが、付加断熱として壁の中に断熱材を充填する「ダブル断熱」の際にとても有利です。
 

SE構法のデメリット

① 構造部分が高価になる

一般的な柱材や梁材と違って、「構造用集成材」自体が製造に手間がかかるので高価であり、更に、材の太さや大きさも一般的な在来木造と比較すると大きいので、どうしても材料費自体が高価です。
また、接合金物も高強度のため重量があり、在来金物と比較するとやはり高価となっています。
加えて、通常の在来木造では行わない「許容応力度構造計算」を実施するので、その分も純粋に経費が掛かります。
ただし、建築費全体から比べたらあくまで構造躯体だけの費用ですので、それをどのように考えるかは、お客様の価値観次第となると思います。家自体は数十年以上使う資産であり、構造躯体はキッチンや壁材などのように後から交換や修繕ができない箇所なので、当社としては決して高いとは考えてはおりません。
 

 

② 外周の壁の厚さが120㎜以上になる

在来木造の柱は105㎜の場合が多いのですが、「SE構法」に柱120㎜が基本となります。そういう点からは15mmほど壁が厚くなるというデメリットがあります。面積は壁の中心から計算するので、その1/2の7.5mm分だけ家の空間が狭くなるということになります。外側にもその分増えるので、敷地条件によってはもったいないと思う方もいらっしゃるかもしれません。
一方で、構造に無関係の内部の壁などは、105㎜よりも薄くても大丈夫なので、それらを上手に活用すれば、実際の利用面積はそれほど変わらない可能性もあります。
 

③ 構造計算でOKがでないと実現できない

在来木造の場合は、構造についての計画は設計者に任せとなっているのですが、「SE構法」の場合は、専門の構造設計者が構造計算を行っているので、設計者の意図だけでは決定できません。
構造計算で安全性がOKにならないと先に進まないということです。そのやりとりに少々時間もかかることもあります。
基本的に「SE構法」の設計の自由度はかなり高いので、「在来木造では可能なのにSE構法では実現できない」というケースはほとんどありませんが、あくまでもその構造計算のプロセスをクリアすることが最低条件になるということは事実です。設計時の打ち合わせ期間にも少し余裕を持つことをお勧めします。
 

 

④ 金物部分で結露する可能性がある

柱や梁にボルトやドリフトピンが貫通しているので、その部分が外壁部分に直接面している場合、外の冷気や熱気のせいで「熱橋」を起こして「結露」する可能性があります。そこをどう対処するかは施工する工務店次第なので、しっかり確認する必要があります。
ちなみに、円徳建工の基本は外断熱工法なので、金属部分の外側で断熱することで、このデメリットを解消しています。一般的な充填断熱工法が標準の工務店の場合は、そこを一度ご確認していただくと良いと思います。
 
このようなメリットとデメリットを考慮しながら、「SE構法」で建てることが、ご自身の家づくりに共感できるか否か、をご検討いただければ幸いです。
 

SE構法が実現できる空間の紹介

このような特徴を最大に生かして、これまでも円徳建工では様々な快適な空間を実現しています。
 

大空間リビング

柱や壁の少ない広々としたリビングはとても気持ち良いです。
 

 

吹き抜け

在来木造で吹き抜けをむやみに大きくすると建物が弱くなりますが、SE構法では全然字実現できます。家全体を大きな一つの空間として暮らせる空間提案のひとつです。
 

 

大開口窓

南側に大きな窓があると、とても明るいことに加えて冬でも太陽のエネルギーを家の中に取り込むことができます。
 

 

ビルトインガレージ

敷地に制限がある中でも、愛車を雨風から守りたいという方にとってご要望の多い提案です。車やバイクを格納できるための大きな空間もSE構法なら安心です。
 

 

屋上

敷地内に庭が取れない場合は、屋上ルーフバルコニーがとても有効です。屋上部分に重量がかかることを考慮して構造計算することで、耐震的にも安心です。もちろん、防水施工はしっかりとおこなうことは言うまでもありません。
 

 

スキップフロア

スキップフロアは、平面的に変化をつける意味でも面白い空間です。しかし、構造的に複雑になってしまうので、特に耐震的な裏付けが必要となります。この点でも構造計算の裏付けが大事となります。
 

 

狭小3階建て

敷地が狭い場合は3階建ても検討となります。3階建ては2階建てに比べて一層分重いので、更に耐震性が重要になります。在来木造でも可能ですが、必要となる耐力壁が増えることで空間が狭くなることが想定されます。特に、間口が狭くて奥行が長い敷地などは、横方向の耐力壁が増えることで生活しづらい間取りとなってしまいがちです。
その点でもSE構法の強みを生かすことで、耐震性を保ちながら広々とした空間が実現できます。
狭小住宅に限らず、広い敷地の3階建てでもそのメリットは大きいので、SE構法は3階建てにもよく使われています。
 

 
このように、様々な空間を安全に提案できるのが「SE構法」の大きな魅力です。
 
円徳建工の設計力と施工力で、これからも安全で快適で、暮らしを楽しめる家づくりをお手伝いしていきたいと考えています。
ご興味をお持ちいただけた方はお気軽にお問い合わせください。
 
円徳建工(株) 代表取締役 窪田壮次郎